開発者エクスペリエンスと開発者生産性の現状

このレポートは、2024 年および 2025 年の JetBrains 開発者エコシステムアンケートに基づく開発者エクスペリエンスと開発者生産性の現状に関するものです。ソフトウェア開発者、テクニカルマネージャー、開発者エクスペリエンスおよび開発者生産性エンジニアに自社の開発者生産性とエクスペリエンスの測定に関する実践について質問しました。また、そのようなエンジニアがまだ不足していると考えていることを質問し、各質問に対して 146 ~ 6,144 件の回答を受け取りました。

このレポートでは、JetBrains が特に技術コミュニティや大企業顧客にとって価値があると考える重要なポイントを明確にしています。

自社で開発者生産性や開発者エクスペリエンスを担当している方、より良いプロセスを提唱している立場の方、または AI の採用を検討中の方まで、このレポートのインサイトは現在の実践を振り返り、より多くの情報に基づいて意思決定を行うのに役立ちます。

全体像

1. 開発者が AI に求めているものと企業による生産性向上方法

開発者が AI を使用したいと考えている上位 5 分野:

62%

ボイラープレートまたは定型コードの作成

58%

バグの理解と修正

57%

テストの生成

57%

コード品質の改善または最適化(リファクタリングなど)

49%

通常のコードの作成と編集

85%

1 つ以上の AI ツールをコーディングやその他の開発関連活動に使用している開発者の割合

9%

ワークフローに AI を取り入れていない開発者の割合

企業による開発者生産性向上施策の上位 3 件:

24%

内部トレーニング

10%

生成 AI の採用

9%

開発手法の改善

2. ツールに対する満足度

優れた技術スタックは、明確な目標や報酬といった非技術的な要因と同程度に開発者エクスペリエンスにとって重要です(それぞれ 89% と 87%)。

33%

ツールへの満足度が測定すらされていないと明かした開発者の割合

3. よく使用されている生産性メトリクス

35%

デプロイ頻度(DORA)

35%

変更リードタイム(DORA)

35%

パフォーマンス(例: 安定性と品質)(SPACE)

34%

開発者の満足度とウェルビーイング(SPACE)

4. よく使用されている開発者生産性と開発者エクスペリエンスの評価手法

個人の生産性は一般的に次のように測定されています:

35%

KPI

33%

面談

31%

自己評価

ツールに対する満足度は一般的に次のように測定されています:

27%

非公式の自然な会話

24%

アンケート

21%

面談

5. チームリーダーは開発者エクスペリエンスと生産性の測定に責任を負うことが期待されている

56%

開発者生産性エンジニアや人事担当者ではなく、チームリーダーが生産性およびエクスペリエンスの測定に責任を負うべきと考えている回答者の割合

6. 生産性、開発者センチメント、およびそれらの測定に関する他の統計

66 %

生産性の測定に使用されるメトリクスが実情を反映していると確信していない開発者の割合

51%

ツールに対する満足度が何らかの形で測定されていると回答した開発者の割合

24%

自社の開発者エクスペリエンスの現状に不満を持ち、非効率なプロセスやポリシーが開発者生産性を妨げていると考えているテクニカルマネージャーの割合

41%

開発者生産性とエクスペリエンスの測定を行っていない小規模企業の割合(大企業の場合はわずか 30%)

開発者エクスペリエンス(DevEx または DX)とは、開発者がソフトウェア開発ツール、プロセス、環境、およびプラットフォームを操作する際に得る全体的な満足感や生産性の実感を指します。

開発者エクスペリエンスは最近注目を集めており、ソフトウェア開発の効果に密接に関連しています。企業は DevEx と開発者生産性を評価し、それらに影響を与える要因をよりよく理解するための取り組みを強化しています。

開発者エクスペリエンスと生産性の測定はもはや「望ましい」ものではなく、競争力を維持し、優れた人材を引き付け、活発な開発者チームを作りたいテクノロジー企業にとって不可欠な取り組みです。しかし、企業がどのようにこのプロセスに取り組むかは、測定そのものと同じくらい重要です。

テクニカルマネージャーの視点から見た開発者生産性とエクスペリエンスの主な課題

自社の DevEx の現状に不満を持つテクニカルマネージャーは、所属組織の生産性や DevEx の取り組みにおける課題や非効率性を明確にするための質問が提示されました。

開発者生産性と開発者エクスペリエンスに対する取り組みにおいて、あなたの会社に不足していることや効果的に行われていないことを教えてください。

テクニカルマネージャーに対する質問(自社の DevEx および生産性の取り組みに不満のある技術担当者)、N=146、2024 年

27%

開発者生産性とエクスペリエンスは会社の優先事項ではない

24%

非効率で煩雑なプロセスやポリシーが生産性を妨げている

20%

リーダー層、コミュニケーション、管理体制の質の低さ

14%

開発者生産性の適切なメトリクスと測定の不足

14%

企業文化と組織構造が生産性に及ぼす悪影響

14%

開発者生産性を高めるツールへの投資と予算の不足

重要なポイント

開発者生産性や DevEx の向上は多くの企業の優先事項となりつつありますが、課題は依然として存在しています。開発者生産性とエクスペリエンスを優先せず、非効率なプロセスや効果的なコミュニケーションを解決しない企業は後れを取る危険があります。

リーダー層レベルで開発者生産性と DevEx を優先すること

リーダー層の強い肩入れがない場合、開発者エクスペリエンスと生産性を向上させるための取り組みは散発的で不十分なままです。

破綻したプロセスを修正してツールに投資すること

非効率的で不適切なツール、過度に複雑なワークフローはすべて生産性を低下させます。プロセスを合理化し、開発者に優しいモダンなツールへの投資を優先することで、開発者の生産性とエクスペリエンスを向上させることができます。

開発者生産性における AI の新しい役割

開発者エクスペリエンスと生産性の未来、そして一般的なソフトウェア開発業界について語る場合、AI の話題を避けて通ることはできません。

2.1. AI ツールの採用率から生産性が向上することが期待される

2025 年 4 月から 6 月に収集したデータによれば、85% の開発者がコーディングや開発関連の作業で少なくとも 1 つの AI ツールを使用しています。AI の存在は、技術リーダーと開発者の双方が期待する内容を再定義しています。

次の AI ツールのうち、コーディングや
その他の開発関連の作業で
定期的に使用しているものはどれですか?

全員に対する質問、複数選択肢、N=23,350、2025 年

85%

少なくとも 1 つの AI ツール

62%

少なくとも 1 つの AI コーディング支援機能/エージェントまたはコードエディター

2%

カスタム AI ツール

9%

なし

注意: 元の質問には具体的なツールが列挙されていました(ここでは省略しています)。このレポートの目的を果たすため、ツールの割合は集約されています。

生成 AI ツールの採用は、すでに重要な動きだと見なされています。テクニカルマネージャーは社内研修や開発プロセスの改善に加えて、AI の採用を開発者エクスペリエンスと生産性を向上させる組織的施策の上位 3 件の中に位置づけました。

あなたの会社が組織的に講じている主な開発者生産性と開発者エクスペリエンスの強化策は何ですか?

テクニカルマネージャーに対する質問、N=2,336、2025 年

24%

会社主催の社内トレーニングとスキル開発

10%

GenAI ツールの採用

9%

開発プロセスと手法の改善

8%

草の根活動とベストプラクティスの交換の支援

7%

社内コラボレーションとコミュニケーションの問題の解決

2.2. 開発者は AI がワークフローを管理するのではなく、改善すると予測している

開発者は AI が自分たちの仕事にどのように役立つかを明確に理解しています。開発者に今後 1 ~ 3 年以内にワークフローがどのように変化すると思われるかを質問したところ、作業が完全に自動化されるのではなく、時間の使い方が適正化されるとの回答が得られました。

多くの開発者は AI が学習を促進する(47%)、定型タスクを奪う(44%)、コードの最初の下書きを生成する(42%)と予測しています。AI を問題解決や上流の設計のような重要な仕事により多くの時間をかけるための手段と考えている開発者もいます(39%)。

コーディングと開発用の AI ツールにより、コーディングと開発のワークフローは今後 1~3 年以内にどのように変化すると思いますか?

開発者に対する質問、複数選択肢、N=1,625、2025 年

47%

AI によって新しいフレームワーク、ツール、または API の学習に費やす時間が少なくなる

44%

定型タスクで AI を使用する頻度は増えるが、中心的な作業は引き続き手動で行われる

42%

コードの最初の下書きの生成に AI を使用するものの、見直しと改良は引き続き自分で行うと思う

39%

AI が下流の実装を処理するようになるため、自分は問題解決と上流の設計に専念できるようになる

37%

AI によってデバッグとコードの最適化プロセスが大幅に改善されると思う

34%

AI によって新しい役職やテクノロジーに移行しやすくなる

開発者は自分が AI を活用したい分野をすでに認識しています。

次のうち、どの分野でコーディングおよび開発用の AI ツールによる支援を受けたいと思いますか?

開発者に対する質問、複数選択肢、N=1,682、2025 年

62%

ボイラープレートまたは定型コードの生成

58%

バグの理解とその修正方法の特定

57%

テストの生成

57%

コード品質の改善または最適化(リファクタリングなど)

49%

コードの作成と編集

これらの指標は、この AI 時代に DevEx と生産性を向上させたい方が注目すべきものです。

重要なポイント

AI の採用が進んでいます。AI が開発者のワークフローを一夜にして変えることはないかもしれませんが、その影響力は増しています。開発者は AI が将来的にどのように役立つかを理解しているため、ここに挙がっているアイデアは AI を活用して開発者生産性を向上させたい人にとって有用な出発点となるかもしれません。

技術スタックおよび非技術的要因が開発者の生産性とエクスペリエンスに与える影響

開発者は技術的要因非技術的要因自身の開発者エクスペリエンスに強く影響していると回答しており、89% が技術的要因、87% が非技術的要因が中程度の影響または重要な影響を持つと述べています。この結果は、どちらのタイプの要因も開発者エクスペリエンスを形成する上では同程度に重要であることを示しています。

あなたの開発者エクスペリエンスは以下の項目からどの程度影響を受けていると思いますか?

開発者に対する質問、N=2,785、2024 年

技術的要因

開発ツールのパフォーマンス、コードエディターの応答性など

55%

大きく影響を受けている

34%

影響を受けている

10%

少し影響を受けている

1%

まったく影響を受けていない

非技術的要因

チームプロセス、明確な伝達、明確な目標、公平な給与、あなたの総合的なウェルビーイング、ワークライフバランスなど

53%

大きく影響を受けている

34%

影響を受けている

13%

少し影響を受けている

1%

まったく影響を受けていない

2025 年には開発者とテクニカルマネージャーに対し、技術的および非技術的要因の開発者生産性への影響について同様の質問をしました。どちらのグループも非技術的要因の方が少しだけ開発者生産性に大きな影響を与えていると回答していました(マネージャー: 89% 対 85%、開発者: 89% 対 84%)。

開発者生産性は以下の項目からどの程度影響を受けていると思いますか?

テクニカルマネージャーに対する質問、N=2,360、2025 年

技術的要因

開発ツールのパフォーマンス、コードエディターの応答性など

52%

大きく影響を受けている

33%

ある程度影響を受けている

13%

少し影響を受けている

2%

まったく影響を受けていない

非技術的要因

チームプロセス、明確な伝達、明確な目標、公平な給与、あなたの総合的なウェルビーイング、ワークライフバランスなど

64%

大きく影響を受けている

25%

ある程度影響を受けている

9%

少し影響を受けている

2%

まったく影響を受けていない

あなたの開発者生産性は以下の項目からどの程度影響を受けていると思いますか?

開発者に対する質問、N=6,144、2025 年

技術的要因

開発ツールのパフォーマンス、コードエディターの応答性など

51%

大きく影響を受けている

33%

ある程度影響を受けている

14%

少し影響を受けている

2%

まったく影響を受けていない

非技術的要因

チームプロセス、明確な伝達、明確な目標、公平な給与、あなたの総合的なウェルビーイング、ワークライフバランスなど

62%

大きく影響を受けている

27%

ある程度影響を受けている

10%

少し影響を受けている

1%

まったく影響を受けていない

重要なポイント

企業が開発者エクスペリエンスや生産性を向上させるには、技術的および非技術的な改善の両方に注力する必要があります。高性能なツールへの投資は重要ですが、チームプロセス、コミュニケーション、および総合的なウェルビーイングの改善も同様に重要です。それによって開発者は必要な支援を受けられるようになります。単に生産性が向上するだけでなく、仕事を楽しめるようにもなります。

開発者生産性とエクスペリエンスを測定するための主なメトリクス

企業における DevEx と生産性の評価に使用されるメトリクスと手法は、次のように区別されています。

  • メトリクスとは、ソフトウェア開発者の行動を測定可能な用語で定義し、その行動を定量化する手段です。
  • 手法とは、そのような評価を整理するために使用されるアプローチです。

つまり、メトリクスはが測定対象なのかを示し、手法はどのように測定されるのかを示しています。

メトリクス

4.1. よく使用される DORA および SPACE フレームワークのメトリクス

開発者生産性とエクスペリエンスの測定に関して最もよく知られるフレームワークには、DORASPACE の 2 つがあります。これらのフレームワークは、開発者生産性およびエクスペリエンスに対する構造的アプローチを提供します。

2024 年には企業内で DevEx や開発者生産性を向上させる取り組みに関与しているテクニカルマネージャーに対し、これらのフレームワークの具体的な要素(つまり、メトリクス)を開発者生産性とエクスペリエンスの評価に使用しているかどうかを質問しました。

多くの組織は DORA の運用メトリクスと SPACE のより人間との関わりの深いディメンションを組み合わせることで、適正なバランスのアプローチを実現しているようです。

両方のフレームワークから最も広く採用されているメトリクスは次のとおりです。

デプロイ頻度(35% が使用)

開発者によるコードのデプロイ頻度を測定する DORA のメトリクスです。

変更リードタイム(35% が使用)

コードの変更が本番に反映されるまでの時間を追跡する別の DORA メトリクスです。

パフォーマンスメトリクス(35% が使用)

このメトリクスは SPACE フレームワークに含まれており、安定性や品質といったプロセスの結果に焦点を当てたものです。

満足度メトリクス(34% が使用)

開発者が自分の仕事、チーム、およびツールに対してどの程度満足し、充実感を感じているかを測定する別の基本的な SPACE のディメンションです。

あなたの会社では開発者生産性または開発者エクスペリエンスの評価にどのような測定値が使用されていますか?

テクニカルマネージャーに対する質問、N=1,063、2024 年

35%

デプロイ頻度(DORA)- 開発者がコードをデプロイする頻度

35%

変更リードタイム(DORA)- コードの変更が本番に反映されるまでの時間

35%

パフォーマンスメトリクス(SPACE)- システムまたはプロセスの結果(安定性、品質など)

34%

満足度メトリクス(SPACE)- 仕事、チーム、およびツールに対して開発者がどの程度満足しているか。開発者の健康状態と幸福度。

28%

変更失敗率(DORA)- 本番で失敗を引き起こすデプロイの割合

26%

サービス復旧時間(DORA)- 本番で失敗から復旧するまでの平均時間

4.2. 開発者生産性の測定には運用メトリクスが最もよく使用されている

先日、DX 社は代表的な 18 社のテクノロジー企業に開発者生産性の追跡に使用しているメトリクスについて質問を行いました。当社はより幅広い企業を対象にそのメトリクスの採用状況を調査することにしました。以下は 2,000 人以上の回答者からの回答が反映されています。

従来の活動ベースのメトリクスはあまり使用されていない

開発者ごとの差分/プルリクエスト数(10%)はあまり使用されていないメトリクスの代表例です。この結果は、単純なボリュームベースの測定からより包括的な結果・人間志向の開発者生産性の評価への移行が進んでいる可能性を示唆しています。当社はそれを非常に良い兆候だと考えています。

開発者満足度(32%)、開発者エンゲージメント(32%)、および開発者センチメント(20%)が上位にランクイン

これら 3 つのメトリクスは、開発者エクスペリエンスと生産性の人間に関わる部分に焦点を当てています。これらの使用率が高いことは、モラル、モチベーション、および総合的なウェルビーイングが開発者エクスペリエンスと生産性にとって重要であるという認識が高まっていることを反映しています。

運用/プロセス指向のメトリクスが広く採用されている

当社のデータによれば、デプロイ頻度(21%)、変更リードタイム(19%)、およびデリバリーの容易さ(18%)などのメトリクスが特によく使用されています。これらのメトリクスは DORA フレームワークの中の一部ですが、円滑なワークフローを維持してボトルネックを最小化することが重要なことを明確に示しています。

あなたの会社では開発者生産性や開発者エクスペリエンスの評価に次のどの測定値が使用されていますか?

テクニカルマネージャーに対する質問、複数選択肢、N=2,315、2025 年

32%

開発者エンゲージメント

32%

開発者満足度

21%

デプロイ頻度

20%

開発者センチメント

19%

変更リードタイム

18%

知覚される/自己評価生産性

18%

デリバリーの容易さ

手法

4.3. 最も広く使用されている生産性の測定手法は KPI、面談、自己評価

開発者は企業が生産性を測定する際にさまざまな手法を使用していると回答しています。

2025 年は以下の手法が上位にランクインしていました。

35%

KPI

33%

個人面談

31%

自己評価

活動ログ(コードのコミットやプルリクエストの追跡など)が僅差で後に続いており、23% の開発者が自社でその手法が使用されていると回答しています。

あなたの会社または組織は以下のどの手法またはメトリクスを使用してあなたの生産性を測定していますか?

開発者に対する質問、N=6,036、2025 年

35%

主要業績評価指標(KPI)

33%

個人面談

31%

自己評価(アンケートおよびフィードバックフォームを除くその他の形式)

23%

アクティビティログ(コードのコミット、プルリクエストなど)

21%

観察評価

開発ツールに対する満足度の測定については、決して完璧とは言いがたい状況です。約半数(49%)の開発者が問題があると回答していました。33% は自分の満足度がまったく測定されていないと述べており、さらには 16% は測定されているかどうかもわからないと述べています。

DevEx を測定するための上位 3 つの手法(測定されている場合)は次のとおりです。

27%

非公式の自然な会話

24%

アンケートおよび
フィードバックフォーム

21%

個人
面談

あなたの会社では開発ツールに対する満足度はどのように測定されていますか?

開発者に対する質問、N=6,009、2025 年

27%

非公式の自然な会話

24%

アンケートおよびフィードバックフォーム

21%

個人面談

13%

観察評価

33%

開発ツールへの自分の満足度は測定されていない

16%

わからない

1%

その他

重要なポイント

客観的データと主観的データのバランスを取ることが重要です。活動ログや KPI のようなメトリクスのみに頼った場合、生産性の状況が過度に単純化される可能性があります。企業は面談やアンケートのような主観的な手法を組み合わせることで、開発者生産性に対するより有効かつ確かな理解を得る必要があります。

標準的な生産性メトリクスとその信頼性についての開発者の考え

5.1. ほとんどの開発者は自分の生産性が測定されることに抵抗がない

ほとんどの開発者は概して評価されることに抵抗がありません。2024 年に自分の生産性が測定されることをどう感じるかを開発者に質問したところ、42% が抵抗はないと回答しており、40% が中立的な態度を示していました。しかし、18% は抵抗があると認めていました。

開発者は自分の開発ツールに対する満足度が評価されることの方が抵抗がないようです。 回答者の半数以上(57%)が自分の満足度が測定されることに抵抗がなく、39% が中立的な態度を示していました。

開発者は概して自分の生産性ではなく、自分が使用しているツールについて評価されることの方が抵抗がありません。この結果には納得がいきます。ツールの評価は個人のパフォーマンス評価よりもはるかに属人的なものではないため、プロセスとその結果についての不安が自然と小さくなるためです。

あなたの生産性が測定されていることについてどう思いますか?

開発者に対する質問、N=3,840、2024 年

17%

まったく抵抗はない

25%

抵抗はあまりない

40%

どれでもない

14%

少し抵抗がある

4%

非常に抵抗がある

開発ツールに対するあなたの満足度が測定されていることについてどう思いますか?

開発者に対する質問、N=2,319、2024 年

29%

まったく抵抗はない

28%

抵抗はあまりない

39%

どれでもない

3%

少し抵抗がある

1%

非常に抵抗がある

このデータは、開発者が自分の生産性とエクスペリエンスが評価されることにほぼ抵抗がないという事実を明確に示しています。

テクノロジー業界ではこのような評価が一般的な取り組みになりつつあるようです。開発者が抵抗を感じたり、否定的な感情を持ったりすることを恐れるあまり、企業が開発者の生産性やエクスペリエンスを測定することを控えるべきではありません。

5.2. 開発者はメトリクスが自分の生産性を正確に反映しているとは感じていない

開発者の約 3 分の 2 が生産性の測定に使用されるメトリクスは自分の生産性や貢献を正確に反映していると感じていない(36%)、または分からない(30%)と回答しています。

あなたの生産性の測定に使用されている手法またはメトリクスはあなたの生産性と貢献を正確に反映していると感じていますか?

開発者に対する質問、N=4,240、2025 年

34%

はい

36%

いいえ

30%

分からない

このような不確かさは、意思決定プロセスにおけるこのような生産性データの使用方法についても見られます。2024 年には、開発者が自分の生産性の評価に基づいて行われた意思決定をどの程度知っているかを質問しました。

自分の生産性データがどのように使用されているのかを完全に知っており、定期的に明確に伝えられていると回答した開発者は 22% だけでした。

さらに 32% はほぼ知っていると回答しています。これは大まかには知っているものの、全体像は把握していないことを意味します。残りの開発者については認知度が低く、46% が自分のデータの使用方法を限定的に知っているか、まったく知らないと回答しています。

このような理解度のばらつきは、重要な課題が存在することを明確に示しています。開発者が自分の生産性測定データがどのように使用されているかを完全に理解していない場合、このような評価は恣意的で不公平に感じられやすく、将来的な欠員や反応の悪さにつながる可能性があります。

あなたの生産性の評価に基づいて下される決定について、どの程度把握していますか?

開発者に対する質問、N=3,763、2024 年

22%

完全に理解している - 生産性データが意思決定においてどのように利用されるのか定期的な説明を受けており、その内容を完全に理解している

32%

概ね把握している - 自分の生産性データが意思決定でどのように使用されているかを大まかに理解している

23%

ある程度把握している - 自分の生産性データが意思決定でどのように使用されているか限定的な理解にとどまっている

13%

わずかに把握している - 情報共有を受けることは滅多になく、自分の生産性データが意思決定でどう使用されているかほとんど理解していない

10%

全く把握していない - 自分の生産性データが意思決定でどのように使用されているか全く知らない

5.3. 開発者は透明性と建設的なフィードバックを求めている

開発者に自分の生産性が測定されることへの抵抗感を減らすために必要なものを質問したところ、以下を求めていることがわかりました。

21%

プロセスの透明性と明確さの向上

開発者は自分の仕事に対する評価の方法と評価の理由を知りたいと考えています。それらが明確でない場合、このような取り組みは恣意的または不公平に感じられるリスクがあります。

19%

結果に基づく
建設的なフィードバック

開発者は自分自身の成長と改善を目指し、さらには目標との整合性を向上させるため、結果に基づく実利的なインサイトを求めています。

15%

手法の変更

12%

メトリクスの変更

手法とメトリクスの変更を求めていた回答者は、KPI、個人面談、業務記録または日誌を現在の企業内で使用されている手法として挙げていました。

他にはプロセスの公平性、意思決定における結果の使用方法、測定の実施担当者が関心の対象となっていました。開発者は思慮深く、目的が明確で、効果のある生産性測定プロセスを求めています。

より抵抗の少ない生産性測定プロセスにするには何を変更する必要がありますか?

開発者に対する質問、N=2,361、2024 年

21%

プロセスの透明性と明確さ

19%

結果に基づく建設的なフィードバックを受け取って自分の開発を改善したい

15%

使用される手法(アクティビティログ、課題トラッキングの統計、面談、アンケートなど)

12%

特定の測定対象メトリクス

10%

プロセスの公平性

9%

意思決定における結果の使用方法

6%

測定の実施担当者

4%

測定の頻度

2%

プロセスの変更に関する提案の可否

1%

その他

重要なポイント

開発者は概して自分の生産性やエクスペリエンスが測定されることに抵抗はありません。

しかし、大多数は依然としてプロセスには懐疑的です。半数以上(58%)が自社で使用されているメトリクスや手法が開発者生産性を正確に反映しているかどうかを知らず、46% は自分の生産性データがどのように意思決定に使用されているかを限定的に知っているか、まったく知りません。

企業は開発者の信頼を得てフィードバックを提供する必要があります。

透明性と明確なコミュニケーションは妥協してはなりません。開発者は測定の対象理由、その結果の意思決定への影響の与え方を知りたいと考えています。信頼を築き、組織の優先事項と開発者の認識のギャップを埋めるには、測定についてより透明なコミュニケーションを図ることが重要です。

ツールに対する開発者満足度の測定状況

開発者エクスペリエンスの測定に使用されるメトリクス手法についての議論を基に、組織が実際に開発者のツールに対する満足度を測定しているかどうかの問題に戻ります。このメトリクスは DevEx には欠かせないものですが、ほぼ半数の開発者が自社では測定されていないか、わからないと回答しています。具体的には 33% がツールへの満足度がまったく測定されていない16% がわからないと回答しています。状況が明確でなければ、チームが問題点を見つけたり、体系的に行動を起こす機会はほぼありません。

あなたの会社では開発ツールに対する満足度はどのように測定されていますか?

開発者に対する質問、N=6,009、2025 年

27%

非公式の自然な会話

24%

アンケートおよびフィードバックフォーム

21%

個人面談

13%

観察評価

33%

開発ツールへの自分の満足度は測定されていない

16%

わからない

1%

その他

前述のように、開発者の満足度を定量化することは概して好意的に受け入れられており、抵抗はほぼないようです。

開発ツールに対するあなたの満足度が測定されていることについてどう思いますか?

開発者に対する質問、N=2,319、2024 年

29%

まったく抵抗はない

28%

抵抗はあまりない

39%

どれでもない

3%

少し抵抗がある

1%

非常に抵抗がある

重要なポイント

このデータは、ツールに対する開発者の満足度を追跡しなければ機会を逃すことを示しています。テクノロジー業界の優秀な人材は報酬や特典だけでなく、円滑なワークフローや効果的なツールも重視しています。開発者は自分の懸念が聞かれ、ツールが有効に機能する環境で成長するものです。

企業による開発者エクスペリエンスの測定頻度

7.1. 大企業は DevEx や生産性を測定する傾向がある

会社の規模は測定に取り組むかどうかに影響を与えるようです。また、大規模な組織は中小企業よりも DevEx と開発者の生産性を測定する傾向があります。

従業員数が 1,000 人を超える大手企業では、アンケート対象のテクノロジーマネージャーのうち、自社が DevEx や開発者生産性を測定していないと回答していたのは 30% に過ぎませんでした。中規模企業(50〜1,000人)ではこの数値が 34% に増加しており、さらには 50 人未満の小規模企業では 41% に増加しています。

あなたの会社は(個人またはチームの)開発者エクスペリエンスや開発者生産性を測定していますか?

テクニカルマネージャーに対する質問、2025 年

30%

31%

38%

はい。開発者生産性と開発者エクスペリエンスの両方を測定している

12%

20%

15%

はい。開発者生産性を測定している

7%

5%

4%

はい。開発者エクスペリエンスを測定している

41%

34%

30%

いいえ

9%

10%

13%

分からない

1%

1%

0%

その他

小規模企業 自分のみ、または従業員数 2~10 人または 11~50 人 N=678

中規模企業 従業員数 51~500 人または 501~1,000 人 N=731

大企業 従業員数 1001~5,000 人または 5,000 人超 N=656

7.2. DevEx の測定頻度について一貫した基準はない

2024 年に開発者の間で実施された生産性評価の頻度は、企業によって大きく異なっていました。毎四半期(25%)、毎月(18%)、および毎週(17%)の頻度で生産性が評価されているのが最も一般的です。

開発者エクスペリエンスの根幹をなすツールに対する満足度については、状況が変化しているため、若干話が変わってきます。2024 年には半数以上の開発者(53%)が開発ツールに対する満足度が不定期に測定されていると回答していました。しかし、2025 年にはその数が 29 %に大幅に減少し、体系的な測定の取り組み(毎月、毎四半期、毎年)を採用しているチームが増えています。毎四半期(28%)、毎月(18%)、毎週(9%)の評価頻度が一般的になってきました。

これは、企業が DevEx を後回しにすべきものではなく、定期的かつ確実に注意を払うべきものとして対応し始めていることを示す兆候かもしれません。

あなたの生産性はどのくらいの頻度で
測定されていますか?

開発者に対する質問、N=3,869、2024 年

8%

毎日

17%

毎週

18%

毎月

25%

毎四半期

15%

毎年

15%

不定期

2%

その他

開発ツールに対するあなたの満足度は
どのくらいの頻度で測定されていますか?

開発者に対する質問

5%

9%

毎週

9%

18%

毎月

10%

28%

毎四半期

8%

15%

毎年

53%

29%

不定期

15%

1%

その他

重要なポイント

企業が生産性だけでなく、開発者エクスペリエンスの追跡に真剣になっているのは朗報です。DevEx の不定期な評価が減少(2024 年の 53% から 2025 年の 29% への減少)は、より体系的で思慮深い測定への前向きな変化を示しています。

着実な実施とバランスは重要です。頻繁な測定は対立を生む可能性がありますが、測定頻度が低すぎると重要な問題を見逃すことになるかもしれません。ご自身のチームや目標に合ったリズムを発見してください。

開発者生産性とエクスペリエンスの測定を担う責任者

DevEx と開発者生産性の追跡について実際に責任を負っているのは誰ですか?当社のデータからは、ほとんどの企業が規模にかかわらず、チームリーダーがその取り組みの責任を負っている(または負うことが期待されている)ことがわかります(他の役職はグラフをご覧ください)。

2025 年のデータによると、アンケート対象の個人寄与者(IC)とさまざまな職位のテクニカルマネージャーの半数(生産性エンジニア、DevEx 専門家、チームリーダーなどを含む)は、チームリーダーが DevEx と開発者生産性の測定を主に推進していると認めています。興味深いことに、これはすべての規模の企業に当てはまります。この結果は必然的に思えます。チームリーダーは開発者と密接に働き、そのチームのワークフロー、課題、問題点を理解しているからです。

あなたの開発者生産性や DevEx の測定は主に誰が担当していますか?

開発者に対する質問、複数回答可能、N=3,462、2025 年

56%

自分のチームリーダー

30%

自分自身

14%

プラットフォームエンジニアリングチーム

あなたの会社では誰が開発者生産性エンジニアリングと DevEx に責任を負っていますか?

テクニカルマネージャーに対する質問、複数回答選択、N=2,338、2025 年

50%

チームリーダー

41%

開発者自身

16%

専任のスペシャリストまたは専任のチーム

いくつかの重要な疑問が残ります。チームリーダーは実際にこの役割を担う準備ができているのでしょうか?チームリーダーにはこのようなタスクを処理できる十分な能力があるのでしょうか?また、ツール、開発者生産性、DevEx に関する会社全体の意思決定に影響を与える実質的な権限を持っているのでしょうか?それとも、この役割が十分な支援なしで押し付けられているのでしょうか?

大企業の開発者とテクニカルマネージャーの場合、それぞれ 22% と 23% がプラットフォームエンジニアリングチームを DevEx の取り組みの担当者に挙げていました。それぞれ 25% と 22% が専任スペシャリストだと回答していました。

あなたの開発者生産性や DevEx の測定は主に誰が担当していますか?

開発者に対する質問、複数回答可能、2025 年

57%

60%

52%

チームリーダー

38%

27%

26%

自分自身

7%

13%

25%

専任のスペシャリスト

6%

13%

22%

プラットフォームエンジニアリングチーム

14%

13%

11%

人事

10%

10%

6%

誰もいない

2%

3%

5%

わからない

あなたの会社では誰が開発者生産性エンジニアリングと DevEx に責任を負っていますか?

テクニカルマネージャーに対する質問、複数回答選択、2025 年

49%

57%

44%

チームリーダー

45%

37%

39%

開発者自身

12%

17%

22%

専任のスペシャリスト

6%

16%

23%

プラットフォームエンジニアリングチーム

8%

9%

8%

人事

15%

12%

9%

誰もいない

General without breakdown by company size N=2,338

小規模企業just me or 2–10 or 11–50 employeesN=669

中規模企業51–500 or 501–1,000 employeesN=726

Large companies or enterprises 1,001-5,000 or 5,000+ employeesN=651

開発者の 30% が自分の生産性やエクスペリエンスの測定は自分がやるべきことだと感じています。この数値は小規模企業では 38% に上昇しており、特に比較的小さな組織の開発者が自助努力を求められている傾向にあることが示されています。

重要なポイント

専任スペシャリストやプラットフォームエンジニアリングチームに投資している組織は、個々に独立した取り組みに留まらず、着実かつ拡張可能な取り組みを創出する準備が整っています。これらの役割はチームリーダーの取り組みを補完し、豊かにし、より大規模な戦略的目標に結びつけることができます。

最終的な考察

多くの要因が開発者の生産性とエクスペリエンスに影響を与えていますが、その両方を適正化するには、リーダーが測定し、フィードバックを受け、最大の影響を与えるテクノロジーとポリシーに投資する必要があります。つまり、定型タスクを自動化できる AI ソリューションや開発者ツールを探し、目標と生産性測定の透明性を確保し、開発者とリーダー層間のオープンなコミュニケーションを維持する必要があります。

実施方法

このレポートは、JetBrains が実施した 2024 年開発者エコシステムアンケートと 2025 年開発者エコシステムアンケートの回答に基づいています。

各質問については、以下を明示しています。

  • 質問の対象者
  • 回答数
  • 質問が行われた年

2024 年と記載されている場合、その質問が 2025 年版から削除されていることを意味します。また、2024 年版ではそのそのトピックに関する最新の利用可能なデータを提供しています。

開発者」は、開発者 / プログラマー / ソフトウェアエンジニア、アーキテクト、DevOps エンジニア / インフラストラクチャ開発者、DBA、システムアナリスト、および関連する職位のすべての個人寄与者を指しています。

テクニカルマネージャー」、「テックマネージャー」、または「テックリーダー」は、それぞれチームリーダー、CIO / CTO / CEO、開発者生産性エンジニア、開発者エクスペリエンスエンジニア、プロダクトマネージャー、プロダクトマーケティングマネージャーなどの管理職にあり、さらには開発者生産性、エクスペリエンスに関連するポリシーや取り組みを意識している回答者を指しています。

2024 年の生データはこちらからダウンロードできます。2025 年の生データは近日中に jetbrains.com で公開されます。

分析と執筆
Olga Lvova
Yanina Ledovaya
編集
Ciara Byrne
Colette Des Georges
コピー編集
Christian Yates
Mikhail Kropotov
デザイン
Anastasiya Bystrushkina
Daniil Komov
プロジェクトマネージャー
Nadia Lokot